多態性¶
アップキャスト¶
派生クラスの参照やポインタから 基底クラスの参照やポインタへの型変換をアップキャストといいます。
アップキャストによって、 派生クラスのオブジェクトを基底クラスの参照またはポインタで扱うことができます。
polymorphism_upcast.cc
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 |
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この例では Square
クラスのオブジェクト s
を Rectangle
クラスの参照 r
で扱っています。
アップキャストは暗黙的に行われるため、明示的に型変換を行う必要はありません。
ダウンキャスト¶
基底クラスの参照やポインタから 派生クラスの参照やポインタへの型変換をダウンキャストといいます。
ダウンキャストを行わないで済むようなコードを書くことが望ましいです。 ダウンキャストの詳細については ダウンキャスト を参照してください。
仮想関数とオーバーライド¶
派生クラスで挙動を変更できるメンバ関数を仮想関数といいます。
仮想関数にするには基底クラスのメンバ関数に virtual
をつけます。
派生クラスで仮想関数の挙動を変更することをオーバーライドといいます。
派生クラスでオーバーライドを行うには、仮想関数シグニチャ(引数の型や const
修飾の有無)を厳密一致させる必要があります。
オーバーライドであることを明確化するため派生クラスのメンバ関数には override
をつけることが推奨されます。
override
について
override
はプログラマのミスや基底クラスの仕様変更により、
関数シグニチャが厳密一致しなくなった際にオーバーライドに失敗するという
トラブルを防ぐために導入された仕組みです。
override
をつけなくても関数シグニチャさえ厳密一致すればオーバーライドは可能ですが
トラブルを防止するためには常につけたほうが良いでしょう。
polymorphism_override.cc
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実行結果は以下のようになります。
size = 10
この例ではメンバ関数 Describe
がオーバーライドされているため、
Rectangle
クラスではなく Square
クラスの Describe
が実行されます。
純粋仮想関数とインターフェース¶
定義をもたない仮想関数を純粋仮想関数といいます。
純粋仮想関数にするには仮想関数に = 0
をつけます。
class Polygon {
public:
virtual int Area() const = 0;
};
純粋仮想関数があるクラスのオブジェクトは作ることができません。
C++ にはインターフェースクラスをつくるための専用の記法はないため、 メンバ関数がすべて純粋仮想関数であるクラスをインターフェースとして使います。
class Polygon {
public:
virtual int Area() const = 0;
};
class Rectangle : public Polygon {
public:
int Area() const override {
return height_ * width_;
}
int height_;
int width_;
};