関数¶
C++での関数の使用方法について説明します。
関数HelloWorld()
を作成し、main()
から呼び出して利用する場合は次のようにします。
main.cc
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 |
|
ここで注目すべき点は、関数HelloWorld()
が、呼び出されている10行目より上の行で記述されている点です。
コンパイラはソースコードを上から順に解釈しているため、コンパイラに対してHelloWorld()
が何者なのかを事前に教えることで、HelloWorld()
の関数呼び出しが行なえるようになります。
試しにHelloWorld()
をmain()
よりも下の行に記述すると、コンパイルに失敗します。
main.cc
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 |
|
4行目の時点では、HelloWorld()
が何者なのかコンパイラには理解できないためです。
関数の前方宣言¶
関数の宣言のみを呼び出し箇所よりも上の行に記述することで、関数の存在をコンパイラに教えることが出来ます。
main.cc
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 |
|
HelloWorld()
の本体はmain()
の呼び出し箇所よりも下に記述されていますが、前方宣言があることで問題なくコンパイルできます。
宣言についての詳細は、4.1. 宣言と定義 を参照してください。
main関数¶
これまでのサンプルコードで度々現れたmain()
をmain関数と呼びます。
C++で生成された実行ファイルを実行すると、main関数を起点に処理が進みます。
コマンドライン引数¶
main関数にも引数を渡すことが可能です。main関数に渡される引数をコマンドライン引数と呼びます。 コマンドライン引数は、プログラム実行時に実行ファイル名に続けて半角スペース区切りで複数指定することが出来ます。
# 実行ファイル名 <引数1> <引数2> <引数3> ...
$ ./a.exe XXX YYY ZZZ
コマンドライン引数を受け取る場合、main関数の引数は次のようにします。
int main(int argc, char* argv[]);
int argc
: コマンドライン引数の個数を表すchar* argv[]
: コマンドライン引数が格納される
main.cc
1 2 3 4 5 6 7 8 9 |
|
# 実行結果
$ ./a.exe Hello World!
argv[0]: ./a.exe
argv[1]: Hello
argv[2]: World!
オーバーロード¶
関数の引数の個数や型が異なる場合、同じ名前の関数を定義することが出来ます。 これを(関数の)オーバーロードと呼びます。引数の個数や型の情報を元に呼び出す関数を決定しています。
main.cc
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 |
|
# 実行結果
$ ./a.exe
int: 2
double: 2.1
関数ポインタ¶
関数を指し示すポインタを作成する場合は次のようにします。
// 戻り値の型 (*変数名)(引数の型);
int (*f1)(double); // double を引数として int を返す関数のポインタ f1
int (*f2)(int, int); // 2つの int を引数として int を返す関数のポインタ f2
関数ポインタには、戻り値の型と引数の型・数・順番が一致している関数のアドレスが代入可能です。
#include <iostream>
int Add(int x, int y) {
return x + y;
}
int main() {
int (*fp)(int, int) = Add; // 関数 Add のアドレスを保持する関数ポインタ fp
int result = fp(3, 5); // 関数ポインタ fp を介して関数 Add が実行される
std::cout << result << std::endl; // 8
return 0;
}
関数ポインタを変数に代入する際は、 auto
を使うことで複雑な関数ポインタの型を書く必要が無くなり簡潔になります。
auto fp = Add;